2020年8月24日月曜日

セザンヌとゾラ

  

学校友だちだった

セザンヌとゾラの話は有名だが

 

それに取材した映画「セザンヌと過ごした時間」を

暇つぶしに見ていたら

ドレフュス事件でさらに有名になったゾラが

「セザンヌは天才だったが

「才能をついに開花できないで終わった

といったようなことを言っていた

 

ピサロにつよく後押しされて

画商ヴォラールは4年前にすでにセザンヌ個展を開き

セザンヌもアンデパンダン展にひさしぶりに出品するなどしていた頃で

若い画家や批評家たちは何年も前から

セザンヌを大きく評価するようになっていた

 

あれほど社会の全容を描こうとしたゾラが

ついに美術界の動向をとらえ切れない状態に陥っていたのが

このセザンヌ評で明確になった

 

セザンヌはその後の美術界で

父とも祖とも賞讃され

いくらでも見直しも再発見もできる永遠の巨匠となったが

ゾラはどうか?

 

なるほど

19世紀末の作家として有名だが

彼の死の頃にはすでにヴァレリーもジイドも

プルーストもジョイスもシュルレアリストたちもパリにいて

自然主義の大看板ゾラになど

もう文芸好きたちは目も向けない流れに入っていた

 

ゾラの本は今でもあるが

人はもうあまり読もうとはしない

セザンヌの絵画は今いっそうの巨大さで存在の度合いを強め

人はいよいよ凝視しようと列を為す

 

成功と流行と

いっそう真なる力と

死後の扱いとの間に発生し続ける

おお、なんという喜劇!

 

ちなみに

ゾラの主要作品は

わたし

すべて原語で買いそろえてある

ジャーナリストや売文業を経てきたゾラの文章は

非常に明晰でわかりやすく

主語・動詞・目的語などの長さ加減や配置のぐあいが

外国人にとっては慰安となる

ことにプル―ストやマラルメや

ブルトンやマンディアルグやルーセルや

ルソーやジイドの一部や

シャトーブリアンらの文章理解に

少し疲れた時などには





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