2020年9月26日土曜日

到来

 

もう

「私」などという語を中心になにごとか物語ろうということに

飽いた

人々が、一日中続く曇天の下で

肉体を動かしたり

さほど動かさなかったり

した

一日

 

陽のまったく射さない薄暗さに

負けないほどの

もまだ草木は帯びず

 

人々によっても

ひょっとしたら物たちによっても

想い描かれ待たれている

鮮やかな色とりどりの盛りの

到来

 

ならば万象による夢の中にいた「私」だった

道理で色鮮やかな心の瞬間ばかり続く「私」だった





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