2021年1月11日月曜日

学生服の詰め襟の裏のあの白いプラスチック



人間は不快なものを

シラミつぶしに

こつこつ

避けていくものだから

ヒヤッと冷たい

いやあなものも

こつこつ

避けていくもの

 

避けようにも

何年ものあいだ

避けられなかったものに

学生服の詰め襟の裏の

あの白いプラスチックの

肌触りがある

 

まぁ 初夏や夏ならいい

冬の寒い朝に

詰め襟のあの冷たい裏を

じかに首すじに当てて

ホックを留める時の

息の止まるような

あのヒンヤリ感は

少しでもはやく放棄して

そこから逃亡したかったもの

 

よくもまあ

あの冷たさに耐えたものよ

と冬の寒い時期になると

思い出しては感心する

制服を脱ぐ時も

下手をするとすぐに

バキッと折れてしまう

あの白いプラスチック裏

なんだったんだろうね

近代日本学生史において

あれは?




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