本を出そうとする人を哀しむ
ずいぶんたくさんの本の誕生に立会い
どれもこれも消えていったのを見てきたから
この人の本は残っていくナ
そうわかる人もある
この人の本は残らないナ
これもわかる
はっきりとわかる
30年も前や20年も前
ちょっとは広告もされ
賞も与えられたりし
出版記念会もきらきらしく行われて
ひょっとして
未来はこの人たちのものになるのか?
と思いかけた瞬間は
本当に
幾度もあった
恐ろしいと思う
どの一冊も
誰ひとりも
残っていないのだから
あんなに美辞麗句の舞ったのを見て
こんなにさっぱりと余塵さえ失せて
出す瞬間に本は商売となり
大衆の記憶への挑戦となる恐ろしさを
認識し足りないのを哀しむ
なに、わかる人たちしか相手にはしていないさ
という
さびしい傲岸を哀しむ
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