眠っているときは
夢の奔流にさいなまれている
目覚めているときには
からだや気分の好き勝手に
右往左往させられている
だいたい
寝ていても覚めていても
運命のジェットコースターの気まぐれに
振りまわされてばかり
こんな悪条件のなかで
わたしなるものの自律だとか
自由だとか明晰さだとか
求めようとすること自体が
意識なるものの大がかりなペテンか
そこまでいわずとも
幻影や虚妄のたぐいなのだろうと
ついに
腑に落ちた夜の踏み切り待ち
あのとき以来
わたしの人生はめでたく終わって
思いなやむということが
まったく
なくなってしまったのさ
どこの踏み切りだったかって?
東急世田谷線西太子堂駅の踏み切りで
もう少し細かく言うと
日本国東京都世田谷区の
太子堂2丁目と4丁目のあいだの踏み切り
あのあたりを行き来して
淡島通りから世田谷通りへと
世田谷通りから淡島通りへと
行き来することが多かった時代が
あったわけさ
もちろん
もう誰も知らない
誰も覚えていない
世田谷区があの巨大な謎の蒸発を遂げて
この世からなくなってしまう
ずっとずっと
前のことなのだから
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