気ままな詩選を自分の愉しみのために。制作年代も意図も問わず、まちまちに。
梅の木のそばに寄って
色を愛で
香りを愛で
かたちを愛でていた時にはね
ぜんぶが
いっしょになって
それはそれで
すばらしく
感じられていたのだけれどね
そのとき
袖に移った香りがね
木から遠く離れてみたら
ひとりね
匂い立ってきて
香りだけを
愛でる
すばらしさにもね
気づいたの
はじめて
萩原宗固
立ちよりし袖にうつれる梅がかは木のもととほく過ぎてこそしれ
『冷泉家御褒詞詠藻』
『志野乃葉草』
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