机に向かっていたら眠くなって
夕暮れ
机の上に脚を載せて
椅子に深く身を倒してすこし眠ったのだが
ちょっと不思議な眠りようで
今回の人生のすべてが
なんだか
走馬灯のようにめぐって
一覧できてしまった気がした
と
とりあえずは記してみながら
走馬灯のように
という紋切り型の表現に
やはり
われながら
ピンと来ない
これで済めば楽なのだが
馴染んでいないので
済まないのだ
プルーストなら使ったかもしれないが
今ではもう使えない
だいたい
あの人は日本の水中花なんかも比喩に使っていたが
日本人でありながら
水中花をまったく見たことがない頃に
プルーストのあの描写を読んだものだから
なんだか逆輸入みたいで
変な感じだった
で
走馬灯だが
だいたい
走馬灯というものも
ほとんど見たことがないので
紋切り型にせよ
たとえとして使いようがない気がする
たぶん
一度か二度
子供の頃に見たことがある気がするが
そうか
これが走馬灯っていうのかと
ずいぶん意識して
眺めたのではなかったか
ひとこと
走馬灯のように
で済めば
ずいぶん楽なのだが
こういう表現というのも
表現の命に限りがあり
使おうとするこちらよりも
とうに命運尽きているような気がする
今どきなら
スマホのSNSのタイムラインを
くるくる遡る時のあの感じのほうが
ふさわしいかもしれない
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