2021年5月5日水曜日

不仕合せの時草臥るる者は


 

  

現実が一つ崩れたあとも、すぐに別の現実が結晶しはじめて、

新たな秩序を作りだすという観念に、いつのまにか

馴れはじめている自分に気づいた。

三島由起夫『奔馬』

 

 


 

「不仕合せの時草臥るる者は益に立たざるなり」

『葉隠』にはある

 

はなはだしい表現矛盾にもかかわらず

この土俗社会によって

自粛を求められ

強いられ

家に閉じ籠もりがちになるのを余儀なくされて

パソコンばかりに向かわされて

間接的な教えや指示を受け続けの学生たちともずっと

関わり続けているが

中には

こんな状態をずいぶん真に受けて

疲れてしまったり

やられてきてしまったりしている者もいる

 

そんな学生たちに

個別に

ひそかに

こんなことを言い添えることも

ある

 

 

理性や知性に関わる「勉強」は、どちらにしても「閉じ籠もる」ことや外界からの刺激の遮断が必要になりますから、社会全体が自分の勉強姿勢を後押ししてくれている時期だと思って、この時期を積極的に利用しようと考えてみたらいいでしょう。

学生にとっては、じつは、今のような時期というのは、勉強や読書や自分つくりの打ってつけの時期だと思います。

 

 

情報過多も極まり、なにかというとネットに触れるのを強いられる時代だからこそ、古典を「本」のかたちで読んでおくといいです。

あなたが法学部だからということでもないけれど、ルソーの三部作やモンテスキューの「法の精神」、ホッブス、ロックなどは、若いうちに本物を読んでおいてください。マルクス「資本論」も、ハンナ・アレント「革命について」「人間の条件」「全体主義の起源」なども。他にも、もちろん、もっともっと。

 

教科書にまとめられた説明など、嘘っぱちですからね。つねに原典を読むようにしてください。

原典にはまったく違う印象があり、無濾過の酒のように筆者のいろいろな思惑や迷いや過誤や、まだ十分に展開され切らない、いろいろな発想の芽が書き込まれています。

自分の頭の中に、ジャンルの違うたくさんの引出しを作っておくこと。これは、少しでも若いうちに準備していかないといけません。

コロナの嘘やインチキも、ぜひ、自分でネットで調べて暴いておいてください。自分で調べ、考えない人間は、どんどんと消されていくのがわかってきます。

今はナチス政権下のような情報戦争状態にじつは入っています。

ウルリヒ・ヘルベルト「第三帝国」などを参考にしながら、現代社会と過去の全体主義下の社会とのあまりの共通性に気づいて今後もっとひどくなっていくはずの世界への準備をしておきましょう。

ナチス時代とソ連のスターリン政権下の社会の検討は、今後、重要性を増します。

テレビや御用コメンテーターや御用学者、昔ならソフィストと呼ばれたであろう金儲け知識人たちの言葉にばかり従って、あなたが出す疑義になど耳を傾けず、端から否定してくる人たちなど、もうさっぱりと捨てて、自分と親しい人たちだけをなんとか生き延びさせることを考えて、せっかくの歴史的好機をムダにせず、大勉強にかかってください。

 

 

そういえば

『易経』第二十九の卦〈習坎〉

には

こうある

「困難に出会った際、人が誠実であれば、心はその状況の意味するところを洞察できる。ひとたび問題のうちにある神秘を掴んでしまえば、私たちのとる行動は自ずから成功するであろう」

 

また

ジョン・リリーは

『サイクロンの眼』で

こう言う

「われわれは、われわれ自身をこえて成長するために、あるいは、われわれが成長を許すような経験を得るために、われわれ自身を制限している信念をも超えてゆかねばならないのである」

 

また

カルロス・カスタネダ『ドン・ファンの教え』で

ドン・ファンは

「その道はこころheartを持っているか?

 その道を歩み続けるとか、その道を去るべきだとかいったあなたの決断は、恐れや野心から自由なものでなくてはならない。

 その道はこころを持っているだろうか? もしそうであれば、その道はよきものである。もしそうでなければ、その道は役に立たない。

もっとも、どちらの道もどこへもみちびきはしない。

しかし、一方はこころを持っており、もう一方はこころを持っていない。一方の道は、あなたがその道を歩み、その道とひとつになっているかぎり、喜びであふれる旅を約束するであろう。前者はあなたを強くし、後者はあなたを弱くする」

 

そうして

もちろん『老子』(上篇、第十二章)

では

「賢者は感じるところに従い、見るところには従わない。彼は後者を離れ、前者を選ぶ」






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