街の音だって
せせらぎ
車のひっきりなしの音も
どこかの校庭で
笛を鳴らしている音も
工事の遠い響きも
わたしはわたしに必要なすべてを持っている
さらになにが来ても
なにかを手放しても
それらはもう増減しない
海や山や湖や草原の風景を求めたこともあった
もう求めなくてもいい
それらを目のあたりにして見続けていても
かなり前からそれらが染み込んで来なくなっているのを
わたしははっきりと感じていた
きれいなところね
と言われて
きれいなところだね
と返しながら
大きな壁に描いたペンキ絵にしか感じない
もっと美しい
いちいちの空気や温度や湿り気が
ひしひし
ぴちぴちと
わたしに浸透してくる
海や山や湖や草原の風景はわたしの
中というより
わたし
に
ぴったりと密着して
在って
わるいけど
わたし
もう
地球の海や山や湖や草原の風景
いらない
わるいけどね
そろそろ
ほんと
の
こと
言っちゃっていく
よ
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