2021年6月20日日曜日

季節はずれの紫紺の菊を……

 


季節はずれの紫紺の菊を

さっと

山の

冷たい水にくぐらせ

死の死への餞に

薄い

さみどりの衣の袖の濡れぬように

そよ風

吹くかのようで

吹かぬ一瞬を

記憶の中に流れる

一筋

ふた筋

宙に

長い髪が伸びて

見えないが

遠く

あの山のすぐ向こうにあるはずの

真っ青な

海原

それへと抜けて開く

心のどこか





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