夏に入ると
7月の20日頃にはもう日本を離れて
パリを歩きまわっていたり
ピエールやアンリエットらとともに
トゥール近くの別荘で過ごしたりしたものだった
別荘の中には若いヒマラヤスギがあって
その下に簡易ベッドを持ち出して
一日中寝転がって本を読んでいた
暮れ方になると木には小鳥たちがやってきて
しばらくさんざめいて
それからどこかに行ってしまうと
夕暮れに入っていく
ピエ―ルの伯父さん夫婦は農家をしていて
ときどき夕食にやってきた
日中に農園に行って貰ってきた野菜を
夕食にここでサラダにして食べたりした
大きなボウルにマスタードとオイルを入れて
がしゃがしゃかき混ぜてドレッシングにするのは
フランスの家庭サラダの定番だが
どこでもドレッシングづくりはぼくの仕事だった
ちょっと隠し味を入れたりして
ふつうのフランス人が作るのより
ほんの少し美味いのを作ってやるのが
毎夏のフランスの楽しみだった
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