まだ世界ができたての頃
紺碧の海を見下ろす崖の上で
駆けっこしている
金髪の少年と
黒髪の少年
金髪の少年の名は
パエトン
黒髪の少年は
エパポス
駆けっこに勝ったのは
金髪のパエトン
ふたりの
父自慢がはじまった
パエトンの父はアポロン
エパポスの父はゼウス
ゼウスに
小さな稲妻の投げ方も教わって
この前なんか
ハゲタカを三羽も殺したし
漁船を脅かしたり
山火事を起こしたりしたよ
と言うエパポスに
パエトンも
黙っていない
パパは
馬に馬具をつけ
太陽の金色の戦車を天空に走らせる
それが
昼というものなんだよ
それから
大海原の潮流の上を
船に乗って
東の宮殿に帰るのさ
それが
夜というものなんだよ
まだ
パエトンが
父の戦車を借りる前
あの悲劇に見舞われる前の
がんぜない
昼と夜の
大きな
大きな
お話である
0 件のコメント:
コメントを投稿