2022年1月23日日曜日

漱石の小説のどれかにありそうな午後


 

では

その方向でないほうがいいんだな

ある思念を捨てて

ひとの誰もいない五叉路を

どっちに行ってもいいんだけれど

どっちに行こうかな

まるで目黒区の五本木で

土地の奇妙な波動にめまいを覚えながら

決めようとするように

選ぶべき別の思念を

意識の中に探している

 

おいしそうなお茶を

朋子さんが

持ってきてくださいますね

 

顔を

あの戸のわきから

ちょこっと出している子犬は

コロちゃん

 

五百円札の手ざわり

覚えていますか?

 

ストローで飲む

甘い

甘い

とろりとした

ストロベリージュース

(ネクターっていうのかな・・・)

そっちを頼んだのは

良雄さん

 

しずかに晴れていて

いい午後です

漱石の

小説のどれかにありそうな

午後です





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