では
その方向でないほうがいいんだな
と
ある思念を捨てて
ひとの誰もいない五叉路を
どっちに行ってもいいんだけれど
どっちに行こうかな
と
まるで目黒区の五本木で
土地の奇妙な波動にめまいを覚えながら
決めようとするように
選ぶべき別の思念を
意識の中に探している
おいしそうなお茶を
朋子さんが
あ
持ってきてくださいますね
顔を
あの戸のわきから
ちょこっと出している子犬は
コロちゃん
五百円札の手ざわり
覚えていますか?
ストローで飲む
甘い
甘い
とろりとした
ストロベリージュース
(ネクターっていうのかな・・・)
そっちを頼んだのは
良雄さん
しずかに晴れていて
いい午後です
漱石の
小説のどれかにありそうな
午後です
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