2022年1月11日火曜日

朝を思ひ、また夕を思ふべし。

 

 

ある朝目覚めると

バイロンのように有名になっていたりは

べつにしないけれど

 

なぜか

埴谷雄高の『死霊』を

読み直したくなっていたり

高見順の

どれでもいいが

『故旧忘れ得べき』か

『わが胸の底のここには』あたりを

読みたくなっていたりする

 

書庫の奥から探し出して

ぱらぱらめくり始めながら

どちらも

すっかり忘れてしまっていて

それが逆に

さいわいして

楽しく読んでいけそうだと

思ったりする

 

ところが

そうそうに読みはじめるか

と思いきや

山下一海の『芭蕉百名言』などに

目移りしたりしている

 

こんな言葉に目が止まる

 

朝を思ひ、また夕を思ふべし。

 

芭蕉を愛した島崎藤村が

筆で書いたものが

掛け軸となっていたという

 

「行脚の掟」にあるものらしく

現在は偽作とされるが

湖十の編纂した『一葉集』にも載録されていたのを

学生時代の藤村が読み

座右の銘にしたものらしい






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