学校の校舎の東南には八重桜の園があって
桜の時期には鬱蒼たる桜花に息詰まるような光景となったが
学生の我々にはまだ八重桜の美しさはわからず
むしろ花の散ってからの青葉の繁る頃の
カケスがうるさく鳴き騒ぐようになってからのほうが
もっと親しめる場所となるように感じた
そこの木々の間を通り抜けて
我々は広大な第二校庭へと出ていき
駅までの下校の道を辿り始めるのだった
もっとも
そこを抜けていく学生の数はあまり多くなく
おそらく全校でも30人もいなかった
わざわざ留まってなにかするほどの面白い場所でもなかったので
我々はただ朝夕の二度を通過するだけだったが
なぜかこの園が
学校を卒業してから十年以上も経って
夢に頻繁に出てくるようになった
そのことをここで書こうと思うわけではなく
蒜田君から貰ったハイシャトーという珈琲の味わいについて
手短に記しておきたかった
しかし
それはやめて
明日からの総攻撃のための気持ちの準備に
やはり入ろうと思う
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