2022年2月6日日曜日

おばあちゃんが洗濯物を取り込むわきにいて

 

 

夏休みに入ったばかりで

いそいでやらないといけないこともなくって

じいちゃんの家にきたぼくは

まだ五時ごろというのに

おじいちゃんとおばあちゃんのあいだに小さい布団を敷いてもらってて

ひとり目覚めたものの

もうちょっと寝ているように言われるだろうなあ

と思いながら

目だけはきょろきょろ見まわしながら

横になっている

おばあちゃんはいびきをかいていて

そんなにうるさくないけれど

人間というよりカバかなにかのような音を

鼻の奥から出している

おばあちゃんは太っていて

カバみたいなところもあるから

いびきの音もよく似合っていると思う

 

寝室からは木づくりの露台に出られ

日中にはおばあちゃんが洗濯物を干すが

夕方になってきて取り込む時には

ぼくもけっこう手伝ったりする

子どものぼくの背はまだ低いので

おばあちゃんが洗濯物を取り込むわきにいて

両腕でひとつひとつ受けとる

 

おじさんもおばさんふたりもいる家なので

洗濯物は毎日いっぱい出るから

庭の物干竿にも洗濯物を干すのだけれど

雨が降ったりするとそっちのほうは大変なことになる

ひとりでお絵かきしていたり

本を読んでいたりしても

大声で呼ばれて

降り出していた雨の中にぼくも飛び出て

ワアワア言いながら

おばあちゃんと洗濯物を取り込んで

縁側にボンボン放り投げる

白猫のチロなんかが縁側に居たりすると

あいつの上にも洗濯物が降ってきたりするから

チロなりにもけっこう大事件だ

ニャとかフニャとか声を出しながら

あっちこっち逃げているうちに

六畳の畳の部屋とかに逃げ込んで

ちょこなんと畳の上に座って

毛づくろいを始めたりする





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