2022年3月25日金曜日

翌週にそのことが起きたりする


 

ふと

ジャック・ヒギンズ(Jack Higginsのことを思い出して

ちょっとしたことなら

ちゃちゃっと調べられるこの時代

ネットで探してみたら

まだ生存している!

92歳だという

ジャージー島に住んでいるらしい

2016年にも本を出しているのだから

元気でいるのだろう

 

本名はハリー・パターソン(Harry Patersonという

本名をいれて筆名は6つあり

名前を使い分けながら77作を書き上げている

そんじょそこらの寡作な作家とはわけが違う

 

小説というのは奇妙なもので

日本の狭い小説観では「ちゃんとした小説」から外されてしまうものに

素晴らしいものがいっぱいある

小説についてはいろいろな観点がありうるが

どれだけ忘れがたい人格を言語で彫り出せたかが

わたしにはいちばんの評価点となる

 

戦争小説や特殊部隊や

テロリストを書くヒギンズの名声は高いが

アクションものや戦争もの

サスペンスものにありがちな

人物像の単純化はない

アメリカがバカ連中に押しつけてくるような

截然と区別のつく善と悪のドラマなど

彼の小説には存在しない

テロリストは苦悩や逡巡を抱えているし

善人と見える者は悪人でもある

 

こういう多作なヒギンズのものが

これまた多量に翻訳されているのだから

日本の理性と知性もやはりバカにしたものではないのだ

 

もっとも有名な

『鷲は舞い降りた(The Eagle Has Landed』に

こんな一節がある

 

これまでの人生で学んだことがあるとすれば

そんなことは絶対にあり得ない

不可能さ

などと言うと

翌週にそのことが起きたりする

ということだ

 

これを読んだ若い頃

ちょっと気のきいた一節だな

と思ったものだが

歳を重ねてきてみると

気がきいているどころか

すごい真実だ

ということに気づく

 

絶対にあり得ないことや

不可能なことが

何度も起こったのを見たものだ

たしかに






0 件のコメント:

コメントを投稿