ふと
ジャック・ヒギンズ(Jack Higgins)のことを思い出して
ちょっとしたことなら
ちゃちゃっと調べられるこの時代
ネットで探してみたら
まだ生存している!
92歳だという
ジャージー島に住んでいるらしい
2016年にも本を出しているのだから
元気でいるのだろう
本名はハリー・パターソン(Harry Paterson)という
本名をいれて筆名は6つあり
名前を使い分けながら77作を書き上げている
そんじょそこらの寡作な作家とはわけが違う
小説というのは奇妙なもので
日本の狭い小説観では「ちゃんとした小説」
素晴らしいものがいっぱいある
小説についてはいろいろな観点がありうるが
どれだけ忘れがたい人格を言語で彫り出せたかが
わたしにはいちばんの評価点となる
戦争小説や特殊部隊や
テロリストを書くヒギンズの名声は高いが
アクションものや戦争もの
サスペンスものにありがちな
人物像の単純化はない
アメリカがバカ連中に押しつけてくるような
截然と区別のつく善と悪のドラマなど
彼の小説には存在しない
テロリストは苦悩や逡巡を抱えているし
善人と見える者は悪人でもある
こういう多作なヒギンズのものが
これまた多量に翻訳されているのだから
日本の理性と知性もやはりバカにしたものではないのだ
もっとも有名な
『鷲は舞い降りた(The Eagle Has Landed)』に
こんな一節がある
これまでの人生で学んだことがあるとすれば
そんなことは絶対にあり得ない
不可能さ
などと言うと
翌週にそのことが起きたりする
ということだ
これを読んだ若い頃
ちょっと気のきいた一節だな
と思ったものだが
歳を重ねてきてみると
気がきいているどころか
すごい真実だ
ということに気づく
絶対にあり得ないことや
不可能なことが
何度も起こったのを見たものだ
たしかに
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