染井吉野が散ってからも
種類の多い八重桜が咲き出すまでは
ほんのすこし間がある
若い頃は
八重桜のぼってりした様子が
どうにも格好わるく思え
好きではなかったが
年齢が進むにつれ
むしろ
八重桜のほうを好むようになった
あのぼってり感が
なにか頼もしい感じがする
桜の花は
ひとつひとつが群れて
花群となって咲くが
手の届くところの群れを
花をこわさないようにしながら
かるく握ってみたりする
桜のあの花ぶりを
どう実感したらいいものか
いくらか悩んだあげくの所作の
ひとつなのだが
群れを手のひらにかるく包んでみると
すこしヒヤッとする冷たさがある
桜の花のいのちは
この冷たさか
と思う
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