気ままな詩選を自分の愉しみのために。制作年代も意図も問わず、まちまちに。
まだ花は残っているものの
だいぶ桜も散るようになった夜に雨となって
外に出たついで
何本か大きな桜のあるところに佇み
上から水の染み流れてくる幹を見ていた
街灯のあかりを受けて
じっとりとした幹の膚の質感が貴重なものとして見え
美しいというのとは違うものの
少しでも長く見つめていたいと思った
夜の桜木の
それも雨に濡れた幹の膚を
感嘆しながら
こんなふうに見つめるのははじめてで
ただこれだけのことでも
新たな経験を加えることのできた
よい春となった
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