2022年4月26日火曜日

あの日のわたしの

 

 

カメラ・オブスクラを

巨大化し

その箱のなかで

外の風景の投影を見る企画が

何年も前

京都の建仁寺であった

 

京都グラフィーの一環だった

 

想像されるものを

まったく超えないという意味で

驚きはなかった

資料的経験のひとつ

という程度だった

 

しかし

雨の降りそうな夕方だった

 

ホテルで降雨の確率を聞くと

今日は曇りますが

雨は降らないはずです

にこやかに

若い女性係員が言うので

傘を持たないで

出てしまった

 

八坂神社から祇園を通って

建仁寺にむかう間も

雲がどんどん黒く厚くなり

ぱらぱら

降り出したかと思うと

止み

建仁寺に着いて

あの広い境内のどこを

どういったら

会場に着くのかと

迷っていると

また

真っ黒な雲が

頭上にひろがり

会場についても

並んでいて

すぐに入れてくれず

外で待っているうちに

また

ぱらぱら来て

それでも

ついに本降りにはならずに

なんとか過ごせたが

 

そんな

雨への不安のほうが

よほど

体感として残る

一夕となった

 

まったく

降るような

降らないような

そんな時は

京都の雨には

悩まされる

 

急ぎ足で過ぎた

八坂神社のなかのあちこちが

暗雲のせいで

やけに暗く

黒くさえ見えていたのが

あの日のわたしの

カメラ・オブスクラ撮影そのもの

だった






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