2022年4月5日火曜日

なんの共通点もない可動体

 

 

人間は自分自身の存在のレベルしか見ることができない

  ゲオルギー・グルジェフ

 

 


 

身体を持ち

心的作用をじぶんと見なして

この世に生きてみているつもりになっていると

おなじく身体を持っている者たちみなも

じぶんも

まったく同じ「人間」であるかのように

うっかり

思い込みやすい

 

この世に居るための

さまざまな法則が

だれをもおなじように支配していると

思い込みやすい

 

そうした思い込みは間違っているのだが

それに気づくことからしか

ほかのだれでもないじぶんの展開は

始まらない

 

たまたますれ違った人や

おなじ場所に一定時間居あわせることになった人たちが

ただヒト科の身体を持っていること以外

なんの共通点もない可動体でしかないとわからないと

じぶんの生はほんとうには開始されない

 

共感も

同調も

試みる必要はない

 

 

以下は

ウスペンスキーの記録した

グルジェフの教え

 

 

生は最も意識の低い人々、つまり最も深く眠っている人々に

支配されている。

 

(・・・)単一性への、統一への熱望が

我々の生の中に見てとれると言えるだろうか?

もちろん言えはしない。

我々はただ新たな分裂、新たな敵対心、新たな誤解を見るばかりだ。

 

というわけで、人類の現況には、

進化が進みつつあることを示すものは何一つない。

それどころか、人類を個人と比較してみるなら、

本質を犠牲にして人格が、

つまり人工的で真実でないものが生長していること、

また、自然で真実なその人本来のものを犠牲にして

外部からきたものが生長していることを

きわめてはっきりと見ることができる。

 

(・・・)多数の眠っている人々の真只中に

二、三の目覚めた人がいると想像してみなさい。

彼らはまちがいなく互いに知りあうだろう。

しかし眠っている人は彼らを知ることはできない。

彼らが何人かだって?

 わからない。

我々自身が彼らのようになるまでは知ることはできない。

前にもはっきり言ったように、

人間は自分自身の存在のレベルしか見ることができないのだ。*

 



 

 

* P.D.ウスペンスキー『奇蹟を求めて グルジェフの神秘宇宙論』(浅井雅志訳、平河出版社、1981

 

 

 


 

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