2022年5月6日金曜日

初夏をむかえようとするみどり

 

 

四月のおわり

雨がちの日が続いて

すこし激しい降りのなか

わずかの買い物に

出て行くときもあれば

しっとりと降る夜

やはりわずかの買い物に

出て行くときもあった

 

桜の花も

とうにみな散ってしまって

今年の花の記憶は

昨年のものや

何年も重なったものに

いっしょにまざりあい

溶けあってしまって

あゝ みな過ぎ去っていく

と思いそうになる目の前に

みどりは鮮やかに

次の季節を告げていた

 

四月のおわり

続く雨がちの日々のみどりは

すでに濃く

あざやかで

桜の花など

思い出している暇は

もうなかった

 

すこし激しい降りのなかでも

しっとりと降る夜でも

初夏をむかえようとするみどりは

すでにくっきりと

主役だった

 




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