四月のおわり
雨がちの日が続いて
すこし激しい降りのなか
わずかの買い物に
出て行くときもあれば
しっとりと降る夜
やはりわずかの買い物に
出て行くときもあった
桜の花も
とうにみな散ってしまって
今年の花の記憶は
昨年のものや
何年も重なったものに
いっしょにまざりあい
溶けあってしまって
あゝ みな過ぎ去っていく
と思いそうになる目の前に
みどりは鮮やかに
次の季節を告げていた
四月のおわり
続く雨がちの日々のみどりは
すでに濃く
あざやかで
桜の花など
思い出している暇は
もうなかった
すこし激しい降りのなかでも
しっとりと降る夜でも
初夏をむかえようとするみどりは
すでにくっきりと
主役だった
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