【青林檎】 その水の
流れはじめるところで別れたのでしたから
またどこか
流れの再開するあたりか
流れのすっかり終わるあたりで
再会することに
いたしましょうか
【楮三椏】 笹舟でなくとも
いろいろな葉で舟はつくれるので
何艘も何艘も
つくろうと思いますの
【うぐいすトラブルじゃくぎゃむ】 小さな葉の舟ですから誰も
乗るわけでは
ありませんけれど
きっとわたしの
思い
・・・いいえ!
思いではなくて
無思が
澄みに澄んで乗っていくはず
【さくら首都ドドンゴ】 流れるものは
流れているあいだは停まっているので
会うことは会わないこと
葉は
いくらでも出てきますから
いくらでも
魂は子となって生まれてくるはず
【ミネソタ蕪村三郎】 青林檎さんよ
水から語り始めたあなたの
結局、これも騙りじゃないかさ?
【楮三椏】 まあ、いいじゃないの
ともあれ日の出なのよ、メランコリアも
いつまで続くわけでもなくってね
【幕夫】 笹の葉 さらさら
軒端に揺れる
思えばなかなか
こわぁい
お屋敷
【さくら首都ドドンゴ】 竹やぶの奥に
いつも立っている人
いたわね
あれが田中さん
どこにでもいる田中さん
特別な田中さんじゃなくって すやすや
眠るように
日々
人生を蕩尽していくだけの
田中さん
【田中さん】 はぁい
田中さんです
田中さんでございます
田中さんですよお
【青林檎】
【楮三椏】
【うぐいすトラブルじゃくぎゃむ】
【さくら首都ドドンゴ】
【ミネソタ蕪村三郎】
【幕夫】
みな立ち尽くして体を硬直させて細く細くなり
口々に
田中さんでございますのお?
田中さんでございますのう?
田中さんでございましまし?
【田中さん】 はぁい
田中さんでございますよお
田中さんでございますですよお
田中さんですますでございますよお
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