2022年8月5日金曜日

『ハード・タイムズ』

 

 

子どもの頃、テレビを見ると陰謀の匂いを感じたんだ。

僕たちを阿呆にしようという陰謀のね。

 スティーヴン・ジョブズ

 

 



 

うちの前を通っていった

近所の

知ってる子

 

いつもながら

大きな声でしゃべってる

 

話の一部が

聞こえてきた

 

「…だって

お父さんも

あんなに体調わるいし

お母さんも

体調わるくなっちゃったし…」

 

おやおや

 

まさか

ちゃんと調べもしないで

こってりした

悪意から流行らされた

あの

ヤクなんか

打っちゃったんじゃ

ないのかな?

あの

劇薬を?

ひょっとして?

 

じぶんの

知性や理性や

情報力

そして

一瞬に総合判断のできる

超野性の勘だけが

生命線となる

時代

 

企業悪や

組織悪や

社会悪との

恒常的戦闘状態にある

時代

 

なにからなにまで

ぜんぶ

自己責任とされてしまう

現代人

であるというのに

おどろくべき

危険薬剤の混合であることなど

読めば

すぐにわかる

添付文書も

読まずに?

 

漢方医のところから帰ってきた妻は

待合室で

どこかの老いた母と

老いた娘が

四回目を

打つかどうか

語りあっているのを聞いた

と言った

 

「だって

老人施設の人たち

3回打って

みんな

おかしくなっちゃったじゃないの?」

 

「それでも

打たないわけには

いかないから…」

 

この冬は

きつい冬になるだろう

 

ディケンズの小説に

『ハード・タイムズ』っていうのが

あったなァ

思い出す

内容は別物だが

タイトルの名が

チカチカ

点灯し続けるのだ

脳裏で

 

越冬とか

過ぎ越しとか

いろいろな言葉が

思い出される

思い出さなくても

いいのに

 

生きていたって

崩壊したも同然の

家庭が

ごそごそ

数えきれないほど

すごい数

出てくるだろう

たぶん

 

『ハード・タイムズ』って

つぶやいて

しまうかなァ

何度も

 

過ぎ越しの

夜々

とでも

つぶやいて

しまうかなァ

それとも

 

 




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