人の死にかたは分割的なもので
部分部分ごとに
ばらばらに少しずつ死んでいく
ある人に対しては
おたがい生きているのに
死んだも同然
べつのある人に対しては
おたがい
まだ生き続けている
ある関心事に対しては
とうに縁が切れて
死んだのも同じ
ある場所に対しては
電車で10分ほどの距離であっても
まったく行かなくなっていたり
おなじ東京でも
引越しをくり返す生きかたをすると
縁遠い街がいくつも出てくる
30年ほど親しんだ渋谷も
まったく行かなくなってしまって
もう12年は経つ
新宿にはたまに行くが
繁く通っていた頃とは違って
数ヶ月に一度行くかどうか
学生時代によく行った池袋など
下車して駅前に出ることはあっても
もう歩きまわることはない
これらの街を あゝ
もうわたしは死んでいるのか
と思う
それともわたしを
これらの街たちが死んだのか
死んでいるのか
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