2022年9月8日木曜日

外へはずれ出る

 

 

なんでもよい

なにかものを書かせれば

ひとはかならず

思い出を

すなわち過去を

書くだろう

 

あるいは

身近に起こったことへの感情を

 

断片的な考えを

 

なにかについての

好き嫌いを

 

目の前の

風景や

光景を

 

見よ!

こうして詩歌は

できあがる

 

なんと

むなしいことか!

 

素朴とか

真率とか

呼びたがるひとも

いるようだが

 

かといって

これらの

どれにも当てはまらないような

なにか

あたらしいもの

超越したもの

奇想を

書いてやりたいと

躍起になるひともいたりする

 

なんと

子どもじみた

素朴このうえない

頑張り!

 

こうして

書くことの外へ

出るほか

なくなって

いく

 

こうして

詩歌の外へ

はずれ出るほか

なくなって

いく

 

俗人

愛するは

未だ

詩と為さず

 

陸游

『朝飢えて子聿に示す』






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