2022年12月27日火曜日

エレベーターのない4階

 

 

上の世代の人だが

ひじょうにアタマがいいようで

ひじょうに愚かな人物が

60代後半で

団地の分譲の一戸を買った

 

首都圏とはいえ

地方なので

数百万で買えたらしい

 

他人がどこに

どのように住もうが

もちろん

どうでもよい

 

しかし

住むことになったのは

4階ということで

しかも

分譲で数百万で買える場所なので

エレベーターなど

もちろん設置されていない

昔ふうの団地であり

40年から50年経っている

 

自分の足腰が

まだまだしっかりしていて

4階からの日々の上り下りなど

なんでもない

という考えがあるのだろうが

現時点ですでに70歳を越えた彼の

5年後や10年後には

そんな足腰自慢もどうなっているか

わからない

 

聞かされて

愚かだなあと思ったのは

彼の妻の心臓が悪くて

もう長いこと

ペースメーカーを入れていることだった

引っ越した頃は

ペースメーカーの調子が悪くて

替えないといけない

などと話していた

買い物に行ったりして

帰ってくると

すぐに階段が上れなくて

下でちょっと休んでいたりする

などとも言っていた

 

老いの募っていく中で

足腰自慢なのはけっこうなことだろうし

いつまでもそうありたいが

怪我だの故障だのは

予期しないところへふいに来る

そういう時

自宅に入る際に

車椅子で行くのを妨げる階段があるとか

エレベーターがないとか

坂が多いとか

そういうのは直接的な障害物となる

階段のたった一段分を

足が上げられなくなる実例を

わたしはいくつか見てきた

 

まずは

1階の住まいか

エレベーターのある安い住まいを見つけて

早急に引っ越すこと

すでに奥さんの心臓にはムリをさせているのだし

急がないと

いろいろと手遅れになります

 

そのように

メールを書き送ったら

返事は来なくなった

 

たぶん

二度とメールが来ることは

ないだろう





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