葉っぱのほうだけをください

  

 

詩歌という

うつわ

 

適しているのは

小さな

小さな

まったく

価値のなさそうなことを

ほんの

ちょっと

のっけること

 

なにか

意義のあることを

ガツンと書いてやろう

などと意気込むと

もう最初から

嘘くさくなってしまう

 

美しいことも

すばらしいことも

はじめから

あきらめてしまっておく

美しさ

すばらしさ

 

凝縮された言葉づかいとか

水も滴る

技巧の粋とか

やめておこうよ

はじめから

 

いつも

思うのだ

 

ぜんぜん

大事でなどないことを

ください

 

ぜんぜん

意義もなく

価値もなさそうな

ただの

ちっちゃな

ほのかな

言の葉だけを

ください

 

どっちかというと

言葉も

あんまりいりませんから

 

ええ

 

ことばの

葉っぱのほうだけを

ください