Ⅰ
たとえば、映画
見るのは好きだし
たくさん見る
よく練られて作られているなあ
とか
すばらしい撮り方だなあ
とか
冴えた編集だなあ
とか
感心したりもする
でも
同時に
たいして価値はないな
とも
いつも
思っている
観客は
一時間半やそこら
編集され繋がれた映像を見て
つかのま楽しんで
で
で
で
それだけ
「いやあ、よかったね」
「きれいだったね」
「ストーリーも波瀾万丈で」
「女優さん、魅力的だったなあ」
それだけ
それ以上に持ち上げ続けるのは
業界関係者
だけ
これが
文化
なんですか?
Ⅱ
「あなたがたは
森林や草原を切り拓き
美術館と呼ばれるものを作って
そこに
美術と呼ばれるものを陳列し
ひとつの美術から
次の美術へ
落ちつきなく歩きまわる。
しかし
美とはなんでしょうか?
美術館に陳列される美は
失われた森林や
草原にあった美以上のものでしょうか?
美とはなんでしょうか?
そこにある
ただ一本の樹を
じっと黙って
何分も
何十分も見つめる人は
ほとんどいない。
たった一本の樹さえも
しばらく黙って
見つめられないあなたがたにとって
美とはなんでしょうか?
そういうあなたがたが主張する美とは
なんでしょうか?」
と
ジッドゥ・クリシュナムルティ
Ⅲ
「わたしたちは
どんな荷物も携えず
軽やかに
なんの努力もせず
いかなる神殿や記念碑にも
また
社会的な
あるいは宗教的な
英雄にも
気を取られたりすることなしに
ただひとり
美と愛を携えて
旅していかなければ
ならない」
とも
ジッドゥ・クリシュナムルティ
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