2023年6月21日水曜日

我立ち濡れぬ山のしづくに

 


大津皇子と

姉の大伯皇女との

近親相姦

と言えば言える

掛けあいの歌は有名だが

恋人だったらしい

石川郎女への

こんな歌も

印象は強烈に来る

 

あしひきの山のしづくに妹待つと我立ち濡れぬ山のしづくに

 

性的な意味あいを喚起させるとか

歌としての出来ぐあいとか

そもそも

どれだけ真実味があるかとか

そんなことはどうでもよい

 

山のしずくで

すっかり濡れてしまいながら

そのままの姿で

女を待っている男の姿が

ほとんど

物の怪のように

ありありと

見える

 

山のしづくに

山のしづくに

二度

くりかえし

濡れて

山で

立って

女を待っている

 

我立ち濡れぬ

女を待って

立つ

男根を容易に想像させ

それは

間違った想像ではないだろうが

足も

脚も

からだも立っていて

しずくに

濡れていて

からだ全身で男根になっていて

しかし

来ない女を

待っているだけで

大津皇子

なにか

とほうもない絶対的な形象にと

ここで

成り尽くした

 

 




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