梅雨という
当て字にふさわしく
赤紫蘇や
きみどりの梅の実が
スーパーマーケットの棚にさえ摘まれて
趣のきわまる
おお!
にっぽんの六月よ!
紫陽花の大輪小輪が
両側からいっぱいに咲き出て
通り抜けようとする
きみの腰を腿を脚をたわわに濡らして
ぼくらの今宵の
しとど濡れそぼる闇のたわむれを
先んじて祝福してくれている!
おお!
にっぽんの六月よ!
家々の屋根も
路地裏の舗石も
古井戸の歪んだ蓋も
そして
長雨に染みる壁のビル群も
しとど濡れそぼる
きみの隠しどころへの
参道となって
ビニール袋から取り出した梅の実の
玉
玉
ひとつひとつを
やわらかな指先で弄びながら
ふざけて
きみは付けようとする
まるでイヴのように
紫濃い
赤紫蘇の大きな葉の一枚を
きみの丘の上に
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