2023年8月11日金曜日

ああ、これか


 

 

の世というもの

あの世も含めてのしくみの

ほんとうの

要所というもの

 

わたしがどうして

このようにわたしと自認する虚妄を持つことになり

どうしてこのような人種のからだを持ち

このような言語を用いることになり

このような風土や時代にたまたま居合わせることになり

なにかを認識したり

考えたりする時にどうして

このような枠組みのからみ合わせを

するようになったか

どうして他の考え方をしないのか

 

ひとことにまとめれば

運命

とよく言ってしまったりするような

やわらかく不可視の

この奇妙な牢獄になかに

どうして在るのか

わたしは

どうしてこの牢獄そのものなのか

 

というより

牢獄

という言い方さえ

やはり

ふさわしくない

こうしたものごとの起こりぐあいにおいて

ものごとたちはこのようにあり

他のようにはなく

わたしがこのようであり

わたしでないものたちがあのようにわたしでない

このありようの

機序

そのもの

 

なにをしている時でも

それらがふいに

やけにはっきりと掴めそうになり

摘まめそうになり

ああ、これか

来たな、ついに

などと胸が高鳴るような時が

増えてきている

 

ほんとうに

ごくふつうの生活のなかで

洗って乾かした後の

たくさんの食器を

どれからどのように仕舞っていこうか

ふと思い悩んだりする時などに

 

掃除機で床の埃を吸っていて

ちょっと面倒だが

ここのところでも細いノズルに取り替えようか

ここの脇はふつうの平たいヘッドに替え直そうか

などと忙しく思いながら

からだも手も忙しく動かして

掃除を続けていく時などに

 

なにか急に点灯するかのように

それらがふいに

やけにはっきりと掴めそうになり

摘まめそうになり

 

ああ、これか

来たな、ついに





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