サントリーオールドのCMの最盛期
テレビCM自体が
小さな映画のようだった
時代
作家の開高健が出たり
詩情豊かな趣きのあるものが
多く
作られていた
あそこで使われている曲は
外国の誰の歌だろうと思っていたら
なんと
CM曲作りの天才的名人
小林亜星の作詞作曲になる
『夜がくる(人間みな兄弟)』
という曲だった
(このアラスカ鉄道編には
車内の客の中に
作家阿川弘之の顔も見える
阿川佐和子の父で
元海軍中尉
有名な鉄道マニアだった
名文家で
『米内光政』
『山本五十六』
『井上成美』
などは
必読すべき作品)
サントリーオールドのCMに
開高健が出るのは意外ではなく
開高健はもともと
サントリーが「壽屋」という社名だった時代の
宣伝部のコピーライターだった
PR誌『洋酒天国』の編集や
ウイスキーのキャッチコピー
(トリスウイスキーの「人間らしくやりたいナ」が有名)
を手がけ
『洋酒天国』は開高の編集により
発行部数が
1万部から13万部になった
という
(開高健が小説家になってやめた後は
開高に引っ張られた山口瞳が編集を継ぎ
山口瞳も作家になっていく)
ちなみに
ウイスキー他
きつい酒を飲み過ぎた開高健は
食道がんにかかり
ニューヨークの海で釣りをした8年後
1989年
58歳で死んだ
しかし
谷崎潤一郎や川端康成
三島由紀夫
の後
日本に
開高健と安部公房あり
と認められた
大作家としての死
だった
高級ウイスキーだったサントリーオールドは
1940年すでに
山崎蒸溜所で誕生していた
「新・サントリーウヰスキー誕生」だけは告知されたものの
太平洋戦争に突入していく時勢の中で
商品化は許されず
会社は軍用のウイスキー作りに注力した
戦後の1950年になって
サントリーオールドは商品化され
バー・クラブ・スナックなどで知られるようになり
高度経済成長期には
寿屋の売り上げのほとんどを
オールドで占めた
とはいえ
サントリーオールドは
じつは
原酒構成に疑惑のあるウイスキーでもある
1981年当時に
日本消費者連盟が入手した内部資料では
オールドの成分構成は
モルト原酒27.6パーセント
グレーンウイスキー45.1パーセント
汲水26.1パーセント
甘味果実酒0.8パーセント
リキュール0.4パーセント
カラメル0.6パーセント
となっている
このうちのグレーンウイスキーは
本来
無色透明の穀物アルコール(飲料用エタノール)
サントリーオールドで使用されているのは
熟成した伝統的なグレーンウイスキーとは保証されていないため
ここに疑義が残ることに
なる
EUのウイスキー定義には
「最終蒸留液の容量700リットル未満の木製樽における
3年以上の熟成」
という項目があるが
原料であるモルトウイスキーやグレーンウイスキーが
この基準を満たしているか
が問題となる
ブレンディド・ウイスキーであるとはいえ
サントリーオールドは
「甘味果実酒0.8パーセント」を加えている時点で
「whiskyまたはwhiskeyは、
とするというEU基準からも
外れている
ウイスキーに関するEU基準は
以下の通り
2. whiskyまたはwhiskey
(a) whiskyまたはwhiskeyは、
(i) 発芽させた穀物から他の穀物の全粒の併用の有無を問わず作られた
― そこに含まれるモルトのジアスターゼにより他の天然の酵素の併用
― 酵母の作用により発酵されたもの
の蒸留
(ii) 蒸留液が用いられた原料に由来する香りおよび味を有するよう、9
(iii) 最終蒸留液の容量700リットル未満の木製樽における3年以上の
(b) whiskyまたはwhiskeyの分量による最低アルコール強
(c) 希釈化の有無を問わず、別紙I (5) に定義されるアルコールの添加は一切なされないものとする。
(d) whiskyまたはwhiskeyは、
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