2023年10月3日火曜日

遠いところからわたしを生きて

 

 

 

遠いところからわたしを生きて

葦やほかの草の

さびしく群れる水辺で

今宵も

 

月のわびしさは

あのひかりが

明日の糧のこれっぽっちにも

なってくれないこと

 

出そうと思っていた

手紙も

もう不要だと心底わかってきて

遠い日

あちこちの街で見た賑やかな

祭りの数々

貧相な電球の数珠つなぎや

質の悪い砂糖菓子

すぐ壊れてしまう一夜かぎりの

微笑んだ悪魔のような

真っ白のお面などが

葦のざわめく闇に

見えるようだったり

見えなかったり

 

そんな

なにもかも

 

そんなでない

なにもかも

 

遠いところからわたしを生きて

 

こんなにも

遠いところから

 

わたしを

 

 




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