冬らしくなって
寒い
といっても
子どもの頃の冬の寒さは
こんなものじゃ
なかった
家のなかでも
朝には
水道が凍っていることがあった
小学校に行くと
外の水飲み場の水道管は
ぜったい凍っている
いくら寒くたって
手は洗うし
水も飲むから
水道の栓をひねって
水が出て来るまで待ったりする
まだ出ない
まだ出てこない
なんて
思ったり
言ったりしながら
水飲み場で
友だちたちと
待っていたりする
学校の行き帰り
舗装された道を外れると
土のところには霜柱が立っていて
バリバリ壊しながら
その上を歩くのは
ちょっと
ゴジラになった気分で
すごく
おもしろかった
手がかじかむのは
あたりまえ
ひび割れができたりするのも
あたりまえ
頬なんか
乾いて
しろっぽくなっちゃって
そこに
ひび割れが
できることもある
五年生の時や
六年生の時まで
教室では石炭ストーブで
バケツを持って
石炭を学校の裏へ取りに行く係や
火を付けるのに使う
細く割った薪を取りに行く係や
ストーブの下に溜まる灰を
きちんと掃除して
バケツに入れて捨てに行く係もあって
順繰りに担当は回ってくるので
ぼくらは
どの仕事もやった
雪が降っている時に
石炭を取りに行くのは
つらい
灰を捨てに行くのも
つらい
でも
いま思い出すと
石炭の上に雪が舞い落ちたり
灰の上に舞い落ちたり
さびしい学校裏の黒い土の上に舞い落ちて
だんだんに
積もっていくさまなど
みんな
みんな
ぼくの宝もの
ぼくらの宝もの
もう二度と
寒い水飲み場で
水道管の氷が溶けるのを
いっしょに待ったりすることのない
未来永劫
もう
あり得ない
あの友だちたちとの
宝もの
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