2023年12月4日月曜日

冬の夜の雪と月とを見るほどに

 

 

冬は月

 

寒くなった夜

ひんやり白いひかりを放つ

月の

きびしく

するどく

うつくしいこと

 

都には

まだ

雪は降らないけれども

北国の雪のたよりは

日々

入ってくるようになって

 

月と雪

といえば思い出す

藤原俊成の

冬の一首

 

俊成は

月光に照らされる雪を

花の咲く光景へと

一瞬に

繋げていく

 

冬の夜

降っていた雪がやんで

雲の絶え間に

月があらわれたりする

 

下界に

月のひかりが降りそそぐのを

見ていると

桜の咲くあの時期が

こころに

立ち現われてくるようだよ

 

いちめんの雪景色が

じんわりと

桜の満開の景色のように

なっていくんだよ

 

 

冬の夜の雪と月とを見るほどに花のときさへ面影ぞたつ*

 

 

 



 

*藤原俊成『長秋詠藻』。1178年、仁和寺の守覚法親王の求めに応じ自選。

 

 

 




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