冬は月
寒くなった夜
ひんやり白いひかりを放つ
月の
きびしく
するどく
うつくしいこと
都には
まだ
雪は降らないけれども
北国の雪のたよりは
日々
入ってくるようになって
月と雪
といえば思い出す
藤原俊成の
冬の一首
俊成は
月光に照らされる雪を
花の咲く光景へと
一瞬に
繋げていく
冬の夜
降っていた雪がやんで
雲の絶え間に
月があらわれたりする
下界に
月のひかりが降りそそぐのを
見ていると
桜の咲くあの時期が
こころに
立ち現われてくるようだよ
いちめんの雪景色が
じんわりと
桜の満開の景色のように
なっていくんだよ
冬の夜の雪と月とを見るほどに花のときさへ面影ぞたつ*
*藤原俊成『長秋詠藻』。1178年、
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