2023年12月30日土曜日

天で神が区別してくれる

 


 

南フランスをめぐって

アルビから

カタリ派終焉の地

ピレネー山脈のモンセギュールへ

エレーヌ・グルナックと上ったことがあった

 

モンセギュール山頂で

ちょうど

皆既日食となった

 

偶然?

 

偶然ではあるまい

 

かつて

ぼくらふたりがカタリ派だった頃を

この皆既日食は

忘れないようにと

封印解除をしてくれたものと

見た

 

真夏というのに

皆既日食で地が闇に包まれると

寒くなった

 

12世紀の第3十字軍は

カタリ派を絶滅させるために

フィリップ2世によって敢行され

アルビジョワ十字軍と呼ばれた

 

この十字軍が

南フランスのビジェに入った時

兵士たちの目には

ごくふつうに

穏やかに

平和に暮らしている村人たちや

女たち

子どもたちが

見えただけだった

 

「この村人たちのうちの

だれが

カタリ派なのか

どう見分けたらいいのですか?」と

兵士は

カトリックの神父に聞いたそうだ

 

「全員を殺せ

カタリ派かどうかは

天で

神が区別してくれるから

心配ない」

神父は

このように答えた

 

そういうことの起きた地で

エレーヌとわたしは皆既皆既日食が完全に終わるまで

山上にいた

 

皆既日食の際の寒さで

顔がカサカサになったのを

よく覚えている





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エレーヌ・グルナック
皆既日食の後、モンセギュールにて


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エレーヌ・グルナック

皆既日食の後、モンセギュールにて




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