2024年2月27日火曜日

伊東妙子

 

 

京都の子で

ひととき

愛したのは

伊東妙子ばかり

 

ほかのひとなら

鬱になる

とか

落ち込む

とか

暗くなる

とか

塞ぎ込む

とか

表現するような

とき

伊東妙子は

 

雲が流れてきて

しばらく

濃く留まっています

でも

待っていれば

大丈夫

また

流れていってしまうから

 

よく

言っていた

 

ベッドで

裸になると

いつも

顔を下に向け

両腕で頭をまるく包んで

天井にむけた

すべらかな背だけで

じぶんを守るようにして

卵のように丸まって

いた

 

卵のようだね

声を

かけたり

 

蛹のようだね

声を

かけたり

 

そうして

居たいんだね

 

そうして

居たらいい

 

いつも

そんなことを

言って

ちょっと離れたソファに

座って

ゆっくり

紅茶を

淹れていたり

した

 




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