2024年3月25日月曜日

見ていると霧は

 


 

見ていると

霧は山から山へ這っていくように位置を変え

その移動のしかたこそが

時間というものの本質に思えた

 

きっと

時計たちは青ざめて

時間のエキスパートであることなど

放棄してしまうだろう

 

そう思えて

異国のうらぶれた路地の小店でたわむれに買った

偽石ばかりが麗々しく文字盤を囲む腕時計を見てみたら

なんと!

というか

やはり!

というべきか

文字盤から時針も分針も消えてしまっていて

そればかりか

鏡になってしまっていた!

 

 



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