2024年9月6日金曜日

生者と死者とが渾然一体となって

 

 

 

あさみどり澄みわたりたる大空の広きをおのが心ともがな

明治天皇

 

 

 

 

江藤淳は

『自然と禁忌』のなかで

このように書いた

 

「自然と人間、人と虫と獣と鳥、生者と死者とが渾然一体となってつくりあげている空間を、かつてわれわれは日本と呼んだ。」

 

今こそ

思い出されるべき発言だろう

 

日本とはなにか

という定義は

いかようにも練り出せる

 

しかし

「自然と人間、人と虫と獣と鳥、生者と死者とが渾然一体となってつくりあげている空間」でない日本なら

守る必要や

甦らせる必要があるのか?

そう考えれば

反論はあまり出ないだろう

 

土方巽は

こう言っていた

 

「一度死んだ人が、わたしの身体のなかで何度死んでもいい。」

 

理想とされるべき「日本」は

もし発語するなら

きっと

同じことを言うだろう

 

望むなら

何度でも生かすし

何度でも死んでいい

わたしという

空間のなかで

 

国といい

風土といい

大地というものの

思いは

このようであろう

 

 



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