創造、大きな問題だな。
安部公房 『悪魔ドゥベモオ』
どんなに長生きしたところで
100年後には死んでしまっていて
この地球上にはいないだろう
数十年後にはいないかもしれないし
それどころか
もう数年後にはいないかもしれない
宇宙規模で考える時間スケールを使えば
今後も地球上に滞在するのが
あと数年であろうが
あと数十年であろうが
あと100年であろうが
誤差とさえも言えないどうでもいい違いに過ぎない
となれば
宇宙規模の時間スケールで考えれば
わたしはすでに死んでいる
それどころか
わたしは生まれたことさえなかったようなものだといえる
宙を飛んでくる蚊が
人間にパチンと潰されて死のうが
ボウフラとして水中にいる時に殺されようが
卵の状態で殺されようが
ほとんど変わらないようなものだ
とすれば
すでに死んでいるわたしが
生にまつわるあれこれについて
いろいろ思い悩むのは馬鹿げている
あらかじめ死んでいるばかりか
いつもいつでもどこまでも
生まれてさえいないようなものなのだから
地球上の生について
まじめになど考えるのは馬鹿げている
基本的にこう思っているので
地球上の生を
なにかとても大事なもののように決めつけて
あれやこれや考えたり
嘆いたりするひとたちとは
そりが合わなすぎる
で
さようなら!
というわけだ
ついでに言えば
地球自体も
30億年から50億年後には
消滅してしまっている
この20億年の差はずいぶん大きいけれど
このくらいのスケールになると
短かろうが
長かろうが
こちらには関係のない話である
たまたま
なにかの拍子に寄ってしまって
つかの間
ちょっと滞在してみていても
この地球というやつも
どうでもいいのではないかと
どうしても思える
神から授かった地球
などと
大げさに考えたがるひともいるようだが
地球ひとつダメになったって
ほんとうの神なら
造物主なら
べつの地球をまたひとつ
ヒョイと
作り出せるはずだ
ひとつといわず
いくつでも
ヒョイ
ヒョイと
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