2024年12月19日木曜日

ネスカフェの空瓶に湧かしたお湯を入れてきて


  

 

北極や南極を探検したアムンゼンには

子どもの頃

ずいぶんとあこがれた

 

子どものアムンゼンは

極地の寒さに耐えうる体を作ろうと

真冬でも寝室の窓を開けていた

子どもたちを奮い立たせる有名な話だが

これをもろに真に受けて

ぼくも冬の窓を開けて勉強した

 

ノルウェーのアムンゼンと違い

関東地方の冬の寒さなど

比べものにならないほど甘いが

それでも机のわきの窓を開けると

体や腰などはいいとしても

手指はずいぶんと凍える

鉛筆も持てなくなったり

ページも捲りづらくなる

そこでネスカフェの空瓶に

湧かしたお湯を入れてきて

よく瓶を握ってかじかみを凌いだ

 

こんな子どもっぽい試みのおかげで

寒さにずいぶん強くなった…

などとはまったく思わないけれど

気温が4度や5度ぐらいなら

シャツに薄いジャンパーだけで

寒がらずに平気で出かけるのだから

アムンゼン鍛錬もちょっとは

効き目があったのかもしれない

 

上には上があって

極寒のチベットの密教修行僧は

寒い空気の中でシーツ一枚を巻いて

平気で眠りに就くのだそうである

そのぐらいできなければ

とてもではないが悟りには達し得ない

もっともこれには秘密があって

体温で膨らむと布の中は暖かいのだ

もちろん羽布団や防寒繊維のようにはいかないが

それでもじつはけっこう暖かいらしいと

実地で試してきた人たちからの話で

想像してみたことはある

 

 

 



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