2024年5月28日火曜日

今の住まいとひとつ前の住まい

 

 

 

今の住まいは

空気が

南側の部屋から北側の部屋にむけて

廊下を経由して

流れるようになっている

 

春になって寒くなくなった頃から

また肌寒くなる秋のなかば頃までは

だいたいどの窓も

いくらかは開けているので

住まいの中央を

つねに

空気が流れている

 

いつも気が流れていて

いつも入れかわっているのは

精神やこころについてのわたしの理想なので

今の住まいの空気の流れぐあいは

ある程度

それを体現している

 

外で風がやや強い時でも

部屋のなかにいると

あまりそれは感じられないが

外出しようとして玄関のドアを開けると

ふいの風圧がドアにかかって

開けようとする細い隙間に

強くうなりの音が立つ時がある

 

22階という高層なので

風の流れというより

ドアを開けた時に生まれる圧力差が

一気に押し寄せてくる感じがする

 

引っ越してきた当日

住まいのなかと戸外との間に生じる

この圧力差に気づかず

引っ越し業者が棚の上に置いておいた物の配置図が

アッという間に外に飛び去った

さいわい回廊の一部に引っかかって

紛失はしなかったが

高層階での空気の流れから生じる

予想もしなかった強い圧力差を

はじめて経験した瞬間だった

 

ひとつ前の住まいは1階で

ベランダの前には

低木が花を咲かせたり

桜の木々が花を咲かせているのが見えたり

雑草が茂るひろがりがあったりして

部屋のなかと戸外とのあいだに

強い空気の流れが起こったりすることもなく

圧力差も感じなかった

秋になれば

雑草にまじって蝗虫や

蟋蟀が鳴いて

冬の入り頃まで

耳を楽しませてくれた

 

 




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