2024年9月14日土曜日

はじめてのジェラート


 

 

はじめて

ジェラートというものを食べたのは

1985年だったと思う

パリのノートル=ダム教会のわきのジェラート屋で

何種類かの味を食べた

ブルーベリーや

ラムレーズンのようなものも

選んだように思う

 

その頃の日本では

ジェラートというものは

あまり普及していなかった

アイスクリームもあったし

かき氷もあったが

ジェラートっぽいものとしては

氷アイスと呼ばれていた

安価な氷菓子があっただけだった

 

高級レストランでは

デザートに出たりしていたかもしれないが

高級なものにはことごとく縁のない

若い若い頃だった

 

1983年からいっしょに暮らしていた

フランス人のエレーヌと

はじめてフランス人だけの世界に入り込んだのが

1985年のフランス行きだったが

彼女の姪の若いエリザベットが

ノートル=ダムのわきにおいしいジェラート屋があるから

いっしょに行こう

と連れていってくれた

大学生の女の子らしい単刀直入さが

大人たちとは違ういろいろなパリの見方を

わたしに開いてくれた

 

氷菓というものを

あまり食べなくなっていたわたしは

ジェラートというもののうまさに開眼し

やっぱりフランスやヨーロッパにはうまいものがある

とすっかりフランスびいきになったが

あの80年代の日本の

食べ物に関してのあまりの遅れようは

あれはなんだったのだろう?

敏感にも神経症のようにも

海外の美味いもんの導入に躍起になっているかのような

現代の日本と比べれば

あれはあれで

謎のように思える

 

 




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