はじめて
ジェラートというものを食べたのは
1985年だったと思う
パリのノートル=ダム教会のわきのジェラート屋で
何種類かの味を食べた
ブルーベリーや
ラムレーズンのようなものも
選んだように思う
その頃の日本では
ジェラートというものは
あまり普及していなかった
アイスクリームもあったし
かき氷もあったが
ジェラートっぽいものとしては
氷アイスと呼ばれていた
安価な氷菓子があっただけだった
高級レストランでは
デザートに出たりしていたかもしれないが
高級なものにはことごとく縁のない
若い若い頃だった
1983年からいっしょに暮らしていた
フランス人のエレーヌと
はじめてフランス人だけの世界に入り込んだのが
1985年のフランス行きだったが
彼女の姪の若いエリザベットが
ノートル=ダムのわきにおいしいジェラート屋があるから
いっしょに行こう
と連れていってくれた
大学生の女の子らしい単刀直入さが
大人たちとは違ういろいろなパリの見方を
わたしに開いてくれた
氷菓というものを
あまり食べなくなっていたわたしは
ジェラートというもののうまさに開眼し
やっぱりフランスやヨーロッパにはうまいものがある
とすっかりフランスびいきになったが
あの80年代の日本の
食べ物に関してのあまりの遅れようは
あれはなんだったのだろう?
敏感にも神経症のようにも
海外の美味いもんの導入に躍起になっているかのような
現代の日本と比べれば
あれはあれで
謎のように思える
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