2012年9月17日月曜日

九月句 (四)



九月十三日

時々は氷菓に惹かれ秋遍路

唐茄と東京人は呼ぶならひ

不知火を知らず闇夜に火を思ふ

水引の花あざやかなまゝの過去

九月十六日

竹槍を遠きこととし竹を切る

残暑見舞ひ送り送られ昭和期は

遠稲妻高低あるといふ民度

初嵐ことしは遅き隅田川

秋の空また椎茸を炙り過ぎ

布団干すたび留まり来る赤蜻蛉

秋口の東アジアの海青し

秋暁の心静かな目醒めかな

秋の昼音立てぬ石の照り曇り

台風に遠き都の朝の市

栗飯を貰ひてまづは栗だけを

菊膾ひつそりと卓に待ちてをり

おろし器を出すも億劫山の芋

鶺鴒のモダン柄にて飛び渡る

椋鳥はいづこにも居りて馴染み来ず

落鮎の寂しきまゝに売られけり

鯊釣は十四五尾ほどでちやうど良し



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