手もとに
どの海にもまだ現われていない珊瑚の
希少芽
未来の海が聞こえる
遠さを飲み込んだ喉よ
ときどき深い洞のように響き
揺れ続ける
波のおもての律を掴み
ともにたゆたう者たちは
祝福されよう
いつまでも
かなたの船が懐かしい
乗ったこともない
見知らぬ船が
昔なろうとした理想人が
乗っているかと
草の心は動き
失われた貝
失われつつある風
幻影の埃を払い
また動き出してくる
気配
そして従順
守らずとも
芽はつよくあり
無数の天地創造が
ここに企まれている
最高の謎を
まだ解いていないから
あり続けるだろう
気の遊ぶ世は
濡らすことなき液は
謀略の陰毛
ある緯度における慈愛
濃い蜜のようにこびりつき
じつは育んでいた
異土
時には動詞を捨てよ
つつつつつつつ
空涙して
待つ
赤い音の
始まりなどを
その他を
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