2012年10月23日火曜日

時には動詞を捨てよ



手もとに
どの海にもまだ現われていない珊瑚の
希少芽

未来の海が聞こえる

遠さを飲み込んだ喉よ
ときどき深い洞のように響き
揺れ続ける
波のおもての律を掴み
ともにたゆたう者たちは
祝福されよう
いつまでも

かなたの船が懐かしい
乗ったこともない
見知らぬ船が
昔なろうとした理想人が
乗っているかと
草の心は動き
失われた貝
失われつつある風
幻影の埃を払い
また動き出してくる
気配
そして従順

守らずとも
芽はつよくあり
無数の天地創造が
ここに企まれている
最高の謎を
まだ解いていないから
あり続けるだろう
気の遊ぶ世は
濡らすことなき液は

謀略の陰毛
ある緯度における慈愛
濃い蜜のようにこびりつき
じつは育んでいた
異土

時には動詞を捨てよ
つつつつつつつ
空涙して
待つ
赤い音の
始まりなどを
その他を



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