2013年3月29日金曜日

催芽まで



種として使う籾は
年の暮れまでに唐箕にかける
籾を落下させながら
風で粃を飛ばす

江戸時代からかわらぬ唐箕も
いまではりっぱな機械
籾の落下口は二箇所あり
一番口に重たいよい籾が落ち
二番口に軽い粃が落ちる

風の調整は難しい
強すぎればよい籾も二番口に入る
弱すぎれば悪い粃も一番口に入る
熟練の要るところだ

唐箕にかけた籾からは
尖端の茫や枝梗が除かれ
脱茫される
これをしないと
種蒔きの際に種蒔き機にひっかかり
均一の作業がしづらくなる
使われる脱茫機はシンプル
籾をすりあわせ
茫や枝梗を除くしくみ
一月末までに
このあたりまでは終わっている

次には塩水選
水より比重の重い塩水に籾を浸漬し
浮いてくる軽い籾を除く
10リットルに2.3キロの塩量
1.16ほどの比重となる
卵を入れると
五百円玉以上の大きさにお尻が浮く

唐箕で選ばれ残った籾も
ここではたくさん浮き上がってしまう
それらはすべて除かれ
沈んだ優良籾のみが選ばれる
水でていねいに洗われ
塩分をとって
ようやく種籾が準備される

まだまだ作業は続く
次には
カビや細菌を除くための消毒
普通は農薬を使うが
手のかかる温湯種子消毒もある
60度前後の湯に10分浸し
水で冷却する

いざ種蒔きとなると
発芽条件を整えるために
まず浸種
水を十分に吸収させる
水分が13%以上になると
種籾の呼吸が盛んになり
細胞分裂や伸長が始まる
胚乳の中の澱粉は分解され
葡萄糖となってエネルギーになり
発芽が促進される

浸種日数は
水温×日数の積算温度で考える
発芽に必要な積算温度は100
水15℃なら7日で105
水20℃なら5日で100

積算温度が満たされたら
種蒔きの前に温湯に漬ける
そうして
一気に催芽
ちいさな根がまず顔を出し
いよいよ始まる
今年の稲           



*籾(もみ)
*唐箕(とうみ)
*粃(しいな)
*茫(ぼう)
*枝梗(しこう)
*脱茫(だつぼう)
*塩水選(えんすいせん)



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